バースプランとは?
産婦さんや家族が自分たちの出産に関しての要望や希望を盛り込んだものです。
バースプランの目的
バースプランは何のためにあるのでしょうか?
バースプランは夫婦と医療が協力しながら、夫婦の期待に沿ったケアを行う目的で利用されるものです。また、正常分娩および正常から逸脱した場合に、どのような医療介入がなされるかを前もって知るなどの目的があります。
希望の事柄が実現可能であるか否かを確認する手段にもなります。
バースプランの例
- 夫や上の子に付き添ってもらいたい。
- 好きに歩行や体位変換をしたい。
- 畳の部屋で過ごしたい。
- 誘発や促進をしないで欲しい。
- 水分や軽食を好きな時に摂りたい。
- 自然の破水を待ちたい。
- マッサージを夫(もしくは助産師)に行ってほしい。
- バランスボールを使いたい。
- 照明を暗くして音楽を流したい。
- すぐに赤ちゃんを抱かせてほしい。
- へその緒は夫に切ってほしい。
- 早めにおっぱいを吸わせたい。
- 両親や上の子と会わせたい。
- 帝王切開になっても夫に立ち会っていて欲しい。
- 赤ちゃんが入院になったり、他の施設に搬送される時は夫が付き添いたい。
などさまざまです。
どうやって決める?
バースプランをどうやって決めましょう?
産婦さんの希望や家族の希望がとても重要なのは言うまでもありませんが、立ち合いの有無や出産施設の環境によって大きく変わってきます。
あらかじめバースプランがある場合には、それが可能な施設を選べると良いですね。
立ち合いの有無による違い
夫、母、父、義母、義父、兄弟など施設によって立ち会える人の制限は様々です。
立ち合い相手によっては、居てほしくない場面があるのではないでしょうか?そのこともバースプランには含めましょう。
例)乳房を出す際(早期母子接触など)には、義父や父には席を外してほしい。出産の場面では頭側にいてほしい。
また、立ち会う人に何をしてほしいのかもあらかじめ相談し、記載すると良いです。
立ち合いがいない場合には、代わりに助産師にどのようなことをしてほしいのかを記載しましょう。
後述しますが、出産施設によっては助産師が産婦さんにずっと付き添うということは不可能な場合があります。その場合、産婦さんは一人で陣痛と向き合わなければならなくなります。
お産の間には心細くなったり、不安になることが多いため、立ち合いが可能な施設であれば、誰かがそばにいるだけで解消できる可能性があります。
立ち合いをする人とは信頼関係があって、リラックスした状態で関われる人が良いです。あらかじめ家族と相談しておきましょう。
出産施設による違い
どんな場所がリラックスできる場所ですか?
部屋の広さ、色、照明、音、においなどが、できるだけ産婦さんがリラックスできる場所に近づくと良いです。
部屋の広さなどの環境面はリラックスできる空間であるかどうかを出産施設を決める際に確認すると良いでしょう。
自由に動いてよいと言われても、部屋が狭く分娩台とそのほかの機械でいっぱいで自由に動くスペースがない場合もあります。その際は廊下などを歩くことが可能かと思います。
音は持参したCDが流せるのか?施設にあるCDはどんなものか?
アロマオイルを使用することは可能か?
さらにはどんなグッズを使うことが出来るのかも重要です。
リラックスして横向きになれるようなクッションや分娩チェアー、特にバランスボールは様々な体勢で用いることが出来ます。それも自由に使える場所があるのか。
床にマットを敷いていたり、畳が使えると自由な体勢が取れます。
助産院では、かなり多くの時間を助産師が産婦さんに付き添いサポートをしてくれます。立ち合いがいる場合には様子を見ながらになりますが。
しかし、クリニックや病院などでは、人手が不足している場所も多く、一人の助産師が何人もの産婦さん時には、産後のママや妊婦さんも一緒に担当している場合があります。
病院によっては、混合病棟といって、普通の病気の患者さんも入院している場合があり、その人達も含めて助産師が担当している場合があります。
そのような施設ですと、一人の産婦さんに付き添える時間は少なく、「なかなか来てくれない!」「いまどういう状況なのかわからない」となってしまいます。
そのような施設で立ち合いも不可能な場合は、ご自身でリラックスできるための方法をあらかじめ考えておく必要があります。
当日はあまり頭を働かせない方がいいので、音楽やにおいなどを考えたり、バランスボールやクッションをどのように使えるかを考え、慣れておくと良いかもしれません。特に呼吸法には慣れておくと良いです。
足湯が出来たりする施設が多いですが、冷え取りグッズは持参しましょう!
呼吸法
お勧めの呼吸
とても重要なのは呼吸です。呼吸はどんな場所でも行えます。妊娠中から下記の呼吸を意識して練習しておくと、お産当日も落ち着いてその呼吸ができるようになります。
昔はラマーズ法と言って「ひっひっふー」という一度は聞いたことがある呼吸法が進められていました。
しかし、現在では、「ゆっくり吐く」ことを意識した呼吸が勧められています。
陣痛時には身体の力を抜き、「ふーーー」とゆっくり息を吐く呼吸をしてください。吐き切ると自然と息を吸えますので、また「ふーーー」とゆっくり吐きます。
赤ちゃんに酸素を届けるようなイメージでゆっくり吐いたり吸ったりする呼吸を妊娠中から行ってみてください。
息を吐くことを意識することで、副交感神経が優位になり自然とリラックスしやすくなります。
さらに、酸素も十分に吸い込むことが出来、赤ちゃんが苦しくなりません。
よくない呼吸
「イダーーーイ!!ギャー――――!!!(甲高い声)」
「ゔゔーん(いきむ)」
「・・・んっ(呼吸を止める)」
私はNICUと呼ばれる早く生まれた赤ちゃんや具合が悪い赤ちゃんが入院する病棟で働いていましたが、このような声が聞こえると「入院準備しとこ」と思います。
産婦さんがこのような状態だと何が起こるでしょうか?
お腹を含めて身体に力が入ってしまいます。呼吸も浅くなってしまい、十分に酸素が吸えない状況になります。
必要以上に胎児は子宮から圧をかけられてしまったり、酸素も十分に届かず苦しい状態になってしまうのです。
さらには、子宮口が開く前にこのような呼吸やいきみをしてしまうと、子宮頸管の裂傷にもつながります。
呼吸は吐くことに意識をして、リラックスすることを心がけましょう。
子宮口が開いてきたらいきんでいいと言われますが、その場合には助産師の声掛けに合わせてください。
赤ちゃんの頭が出てからは、いきまずに今度は「はっはっはっは」という短い呼吸でいきみを逃すように言われます。これは会陰裂傷を防ぐためです。
次はどの呼吸など意識する必要がありません(頭を使ってほしくないので)。言われる呼吸法が変わっても疑わずに言われた通りの呼吸ができれば大丈夫です。ゆっくり吐く呼吸だけ獲得しましょう!
私は個人的に、Enya(エンヤ)がリラックスできて好きです。アドレナリンが出てしまうようなハードミュージックではなく、リラックスできるものを選びましょう。