カフェインの吸収・代謝
成人の吸収・代謝
まず、非妊娠時のカフェインの吸収・代謝についてです。
カフェインの吸収・代謝には個人差があると言われていますが、成人の男性による研究※1では約20分から40分程度で血液中のカフェインの濃度が最高値になります。
そのあと、カフェインが血液中から減っていきますが、カフェインの血中半減期は2.7~9.9時間と個人朝が大きいことが分かっています。
血中半減期とは、血液濃度が最高値になったところから、半分のところまでかかる時間のことを言います。これが長いほど、血液中にカフェインが残り続けていること、つまり吸収・代謝が遅いということが言えます。
妊婦
妊婦さんでは、カフェインの半減期が 6~16 時間に延長し、出産後 4~15 週が経過すると通常レベルに戻ると言われています※2。
非妊娠時と比較して2倍もの時間、カフェインが体内に残ることになります。さらに言えば、高い濃度が維持されることになり、カフェインの効果が強く表れる可能性が高いです。
もしも、1日に何杯ものカフェインを飲んでいる場合には、カフェイン濃度が高い状態がずっと持続していると言えます。
では、その間胎児はどうなのでしょう?
胎児
胎児に対してカフェインは胎盤を通って、胎児に作用します。羊水や母体のカフェインの血中濃度がそのまま影響します。
胎児は、肝臓が未熟でカフェインを代謝する能力がほとんどないうえに、妊娠中には半減期が延長しますので、長い時間・高濃度のカフェインに曝されることになります。
乳幼児
カフェインは早産児の治療によく用いられます。
早産児には、未熟児無呼吸発作と言って呼吸を止めてしまったり、それに伴って徐脈を起こしてしまうことがあります。
その治療にカフェインが用いられます。その際に副作用では、たびたび頻脈が見られます。
正期産で生まれた赤ちゃんは早産児よりも影響は少ないと思いますが、胎児はこれに近い状況なのではないかと思います。
頻脈になることは小さな体にとってはとても負担が大きいことなのです。
また、カフェインの早産児においての半減期は約100時間であり、生後29週以降に成人の値に短縮していく※2と言われています。新生児においても早産児と同等である可能性が高いです。
カフェインは乳腺も容易に通って母乳に移行するため、がカフェインを飲みながら授乳していると、赤ちゃんもカフェインを飲んでいることになります。
毎日飲んでいた場合には、赤ちゃんの身体でカフェインの濃度が高い状態がずっと続いてしまうことになります。
お子さんの寝つきが悪かったり、ぐずりが多い原因はカフェインかもしれません。一度控えてみてもいいかもしれません。
※1:Blanchard J, Sawers SJ. The absolute bioavailability of caffeine in man. Eur J Clin Pharmacol. 1983;24(1):93-8. doi: 10.1007/BF00613933. PMID: 6832208.
※2:https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00063151
※3:
※栗原久(2016),日常生活の中におけるカフェイン摂取‐作用機序と安全評価‐,東京福祉大学・大学院紀要,第6巻第2号,p109‐125
つまり、赤ちゃんが摂取したカフェインは、血液中でMAX量が半分になるまでに4日間もかかってしまうんですね。私なら寝れなくなりそうです…